- 2026年10月17日
フルミスト®は1回で効く?いつから効く?2026-27シーズンの株と世界のデータを医師が解説【保護者向けQ&A】

「注射が苦手で、毎年親子で大泣き…」「13歳未満は2回。仕事を休んで2回連れて行くのが大変」――そんなお悩みはありませんか?
鼻に吹きかけるインフルエンザワクチン「フルミスト®点鼻液」(以下、フルミスト®)は、注射針を使わず、日本では1シーズンに1回で済むワクチンです。では、1回で本当に効くの?いつから効くの?今シーズンの型は?――保護者の方が気になるこの3つに、日本と世界のデータをもとに、呼吸器内科・アレルギー科の医師がお答えします。
当院では、2歳〜18歳のお子さまのフルミスト®接種に対応しています
数に限りがあるため、在庫の確認をかねて事前にお電話でご予約ください。在庫がございましたら、お電話をいただいたその日のうちに接種を受けていただくことも可能です。
フルミスト®のご予約・在庫確認お電話 03-3867-8141 注射のワクチンはWEB予約
(melmo「インフルエンザワクチン接種」専用枠)
料金:8,500円(税込)。練馬区の助成の対象の方は4,500円。免疫がつくまで約2週間かかるため、お早めのご予約をおすすめします。発熱・せき・のどの痛みがある方は、ワクチンではなく診察が必要です。
この記事の要点
- 今シーズンの型:A型(H1N1)・A型(H3N2)・B型(ビクトリア系統)の3つに対応。株は毎年見直されます。
- 1回で効く?:日本では2〜18歳は年齢にかかわらず1回。1回の接種で、かかるリスクが下がったという国内外のデータがあります(効果の大きさは年や流行する型で変わります)。
- いつから効く?:接種から約2週間で免疫がつきはじめます。流行が広がる前の接種がおすすめです。
目次
- Q1. 今シーズン(2026-27)の型(株)は?
- Q2. 1回の接種で、どのくらい効果があるの?
- Q3. 世界ではどう評価されているの?
- Q4. 接種してから、どのくらいで効果が出るの?
- Q5. 受けられない子・副反応は?
- 当院でのフルミスト®(予約・料金)
Q1. 今シーズン(2026-27)の型(株)は?
A. フルミスト®も注射のワクチンも、A型(H1N1)・A型(H3N2)・B型(ビクトリア系統)の3つの型に対応しています(3価)[1][3]。
インフルエンザウイルスは毎年少しずつ姿を変えるため、ワクチンに使う株(ウイルスの種類)は毎年見直されます。世界保健機関(WHO)は2026年2月に、今シーズン(北半球)のワクチンに使う株の推奨を発表しました[4]。日本の今シーズンの株は次のとおりです。
| 型 | フルミスト®(鼻から)[1] | 注射のワクチン[3] |
|---|---|---|
| A型(H1N1) | A/スイス/6849/2025 | A/スイス/6849/2025 |
| A型(H3N2) | A/ダーウィン/1369/2025 | A/ミシガン/105/2025 |
| B型(ビクトリア系統) | B/パース/115/2025 | B/東京/EIS13-175/2025 |
鼻からのワクチンと注射のワクチンは作り方が違うため、使う株の名前が一部異なりますが、どちらもWHOの推奨をもとに選ばれています[1][2][4]。昨シーズン(2025-26年)は、A型(H3N2)の新しいタイプ(サブクレードK)が流行の中心でした[2][8]。ワクチンの効果は時間とともに弱まり、株も毎年変わるため、毎シーズンの接種がすすめられています[5]。
Q2. 1回の接種で、どのくらい効果があるの?

A. 日本では、2〜18歳のお子さまは年齢にかかわらず1シーズンに1回です(左右の鼻に1回ずつで1回分)[1][2]。1回の接種で、インフルエンザにかかるリスクが下がったというデータが国内外にあります。ただし、効果の大きさは、その年に流行する型や調べ方によって変わります。
日本のデータ(どちらも1回接種)
- 承認のときの臨床試験(2016-17年シーズン、2〜18歳):インフルエンザにかかった割合は、フルミスト®25.5%、偽薬(有効成分の入っていない薬)35.9%で、かかるリスクを28.8%下げました。ただし、この年に確認できたのはA型(H3N2)への効果で、A型(H1N1)とB型への効果は確認できませんでした[1][2]。
- 発売後の調査(2024-25年シーズン、2〜18歳の2,374人):A型(H1N1)が中心の流行で、接種した子どもは接種していない子どもに比べ、かかるリスクが55.5%低くなりました(95%信頼区間23.5〜74.1%)[2]。
- 昨シーズン(2025-26年)の国内の子どもの調査:注射・鼻からのどちらでも、A型インフルエンザを防ぐ効果が確認されました。ただし、フルミスト®の数字は幅が広く、どちらがすぐれているかは判断できないとされています[2][13]。
海外のデータ
- 英国:2〜17歳の子どもには鼻からのワクチンが第一選択で、多くの子どもは1シーズン1回です[7][8]。2025年秋(A型(H3N2)サブクレードKが中心)の流行初期の調査では、2〜17歳の子どもで、ワクチンを受けた子は救急外来の受診が約75%、入院が約74%少ないと推定されました[8]。流行初期の速報値で、今後変わる可能性があります。
- 初めて受ける小さな子どもの「1回」と「2回」の比較:海外の臨床試験(生後6か月〜3歳未満、これまでインフルエンザワクチンを受けたことのない子ども)では、ワクチンと似た型のインフルエンザを防ぐ効果は、偽薬に比べて1回で57.7%、2回で73.5%でした[11]。初めて受ける小さな子どもでは、2回のほうが効果が高かったという結果です。米国では、接種歴によっては8歳までの子どもに2回をすすめています[6]。なお、日本では2歳未満は対象外で、承認された用法は年齢にかかわらず1回です[1]。
- 効果が低かった年もあります:米国の2015-16年シーズン(A型(H1N1)が流行)では、鼻からのワクチンの有効率は3%にとどまり、一時的に推奨が見送られました(2018-19年シーズンから再開)[2]。
「有効率55%」の読み方
「100人のうち55人が防げる」という意味ではなく、「受けなかった人に比べて、かかるリスクが55%減った」という意味です。ワクチンを受けてもインフルエンザにかかることはありますが、かかるリスクを下げることが期待できます。
Q3. 世界ではどう評価されているの?

A. 日本・英国・米国のいずれでも、注射と並ぶ選択肢としてすすめられています。「注射よりも必ずよく効く」ワクチンではありません。
- 研究のまとめ(コクラン、2018年):3〜16歳で、1シーズンのあいだにインフルエンザにかかった子どもの割合が、接種しなかった場合の18%から、鼻からのワクチンでは4%に減りました(7人が接種すると1人の発症を防げる計算)[9]。
- 注射と比べた大規模な試験(米国の医学誌、2007年):生後6か月〜5歳未満の約8,000人で、鼻からのワクチンのほうが、注射に比べてインフルエンザにかかった子どもが54.9%少なくなりました。一方、1歳未満では、ゼーゼー(喘鳴)が多くみられました[10]。こうした結果から、日本では2歳未満は対象外になっています[2]。
- 日本小児科学会:注射とフルミスト®のあいだに、効果のはっきりした差は確認されていないとして、2〜18歳にはどちらも同じようにすすめています。ただし、重い喘息のある方、授乳中の方、周りに免疫がとても弱い方がいる場合は注射をすすめています[2]。
- 英国:子どもの予防接種の中心として、学校などで鼻からのワクチンを接種しています。子どもへの接種を広げた地域では、ほかの年代の人にも間接的な予防効果がみられたと報告されています[7]。
- 米国:2〜49歳に承認され、ほかのインフルエンザワクチンと同じようにすすめられています[2][6]。
Q4. 接種してから、どのくらいで効果が出るの?

A. 接種から約2週間で、体を守る免疫がつきはじめます[5][7]。
- 米国CDCは「インフルエンザワクチンを接種すると、約2週間で抗体ができる」としています[5]。英国の予防接種ガイドも「接種後14日以内に、予防に必要な免疫の反応が得られうる」としています[7]。
- フルミスト®は、ウイルスの入り口である鼻やのどの粘膜での免疫(IgAという抗体による免疫)と、全身の免疫の両方をつくることが期待されています[2]。
- 今シーズンは、例年より早く流行が始まっています(今年のインフルエンザはなぜ早い?)。免疫がつくまでの約2週間を考えて、早めの接種をおすすめします。
- ワクチンの効果は時間とともに弱まるため、毎シーズンの接種がすすめられています[5]。
接種後しばらくは、検査で「陽性」になることがあります
フルミスト®は生ワクチンのため、接種後しばらくのあいだ、インフルエンザの検査でワクチンのウイルスが見つかり、陽性になることがあります[2]。接種後に熱などで受診するときは、フルミスト®を受けたことを医師にお伝えください。
Q5. 受けられない子・副反応は?
A. 生ワクチンのため、受けられない方がいます。いちばん多い副反応は、鼻づまり・鼻水です。
- 受けられない方:2歳未満・19歳以上の方、妊娠している方、免疫の働きに異常がある病気の方や免疫を抑える治療を受けている方、はっきりした発熱がある方 など[1][2]
- 医師と相談が必要な方:重い喘息がある方・ゼーゼーしている方、周りに免疫がとても弱い方がいる方、インフルエンザの治療薬を使っている方 など[1][2]
- 主な副反応(国内の臨床試験):鼻づまり・鼻水59.2%、せき27.8%、のどの痛み17.9%、頭痛11.2%。まれに、アナフィラキシー(急で重いアレルギー反応)が起こることがあります[1]。
当院は呼吸器内科・アレルギー科として、喘息やアレルギーのあるお子さまも、今の状態をうかがったうえで、鼻からと注射のどちらがよいかを一緒に考えます。当てはまる場合でも、注射のワクチンなら受けられることがあります。受けられない方・注意が必要な方の詳しい一覧は、フルミスト®とは?(メリット・受けられる人・当院での予約)をご覧ください。
当院でのフルミスト®(予約・料金)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 2歳〜18歳(19歳未満)のお子さま |
| ご予約 | 在庫確認のため、事前にお電話(03-3867-8141)でご予約ください。在庫がございましたら、お電話をいただいたその日のうちに接種を受けていただくことも可能です。WEB予約(melmo)では受け付けていません |
| 料金 | 8,500円(税込)。練馬区の助成の対象の方は4,500円[12] |
| 練馬区の助成 | 練馬区に住民登録があり、平成20年4月2日以後に生まれた2歳以上の方(高校3年生相当まで)。2026年10月1日〜2027年1月31日。区から届いた予診票と母子健康手帳をお持ちください[12] |
| 接種後 | 30分ほど院内で様子をみていただくか、すぐに医師と連絡がとれるようにしてお過ごしください。保育園・学校を休む必要はありません[2][12] |
まとめ
- 今シーズンのフルミスト®は、A型(H1N1)・A型(H3N2)・B型(ビクトリア系統)の3つの型に対応しています。
- 日本では2〜18歳は1シーズン1回。1回の接種でかかるリスクが下がったというデータがありますが、効果の大きさは年や流行する型で変わります。注射と並ぶ選択肢です。
- 免疫がつくまで約2週間。流行が広がる前の、早めの接種がおすすめです。
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監修医師
松平 秀樹(まつだいら ひでき)/松平 呼吸器内科・アレルギー科クリニック 院長
医学博士/日本呼吸器外科学会 呼吸器外科専門医/日本外科学会 外科専門医
参考文献・引用元
- 第一三共株式会社「経鼻弱毒生インフルエンザワクチン フルミスト®点鼻液 電子添文(第6版、2026年8月改訂)」(製法の概要・製造株、臨床成績、副反応)
- 日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会「経鼻弱毒生インフルエンザワクチンの使用に関する考え方:第2版」(2026年9月2日改訂)
- 厚生労働省 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 研究開発及び生産・流通部会「季節性インフルエンザワクチン及び新型コロナワクチンの製造株について検討する小委員会」第4回 議事要旨(2026年5月26日)
- World Health Organization. Recommended composition of influenza virus vaccines for use in the 2026-2027 northern hemisphere influenza season. 27 February 2026.
- U.S. Centers for Disease Control and Prevention. Key Facts About Seasonal Flu Vaccine. Updated September 1, 2026.
- U.S. Centers for Disease Control and Prevention. Interim Clinical Considerations for the Use of Seasonal Influenza Vaccines in the United States (2026-27 season). September 1, 2026.
- UK Health Security Agency. Immunisation against infectious disease (the Green Book), Influenza. 25 August 2026.
- Kirsebom FCM, et al. Early influenza virus characterisation and vaccine effectiveness in England in autumn 2025, a period dominated by influenza A(H3N2) subclade K. Euro Surveill. 2025;30(46):2500854. /UKHSA press release, 11 November 2025.
- Jefferson T, Rivetti A, Di Pietrantonj C, et al. Vaccines for preventing influenza in healthy children. Cochrane Database Syst Rev. 2018;2:CD004879.
- Belshe RB, Edwards KM, Vesikari T, et al. Live attenuated versus inactivated influenza vaccine in infants and young children. N Engl J Med. 2007;356:685-696.
- Bracco Neto H, Farhat CK, Tregnaghi MW, et al. Efficacy and safety of 1 and 2 doses of live attenuated influenza vaccine in vaccine-naive children. Pediatr Infect Dis J. 2009;28(5):365-371.
- 練馬区「小児インフルエンザ予防接種」(2026年10月5日更新)
- Shinjoh M, et al. Effectiveness of inactivated and live-attenuated influenza vaccines in children during the 2025-2026 influenza season with genetically distinct influenza A and B viruses. Vaccine. 2026;88:128869.
本記事は医療情報の提供を目的としており、診断・治療を行うものではありません。接種できるかどうかは、当日の診察で医師が判断します。料金・助成・在庫の状況は変わることがあります。イラストはすべて当院のオリジナルで、実在の人物・既存のキャラクター・製品の外観を描いたものではありません。
監修:松平 呼吸器内科・アレルギー科クリニック 院長 松平 秀樹/最終更新:2026年10月17日