- 2026年7月18日
花粉症の方が果物で口がかゆくなるのはなぜ?──View39から読み解く「花粉食物アレルギー症候群(PFAS)」|練馬区・大泉学園|松平 呼吸器内科・アレルギー科クリニック
View39シリーズ・基礎編
花粉症の方が果物で口がかゆくなるのはなぜ?──View39から読み解く「花粉食物アレルギー症候群(PFAS)」
「リンゴをかじると口の中がかゆくなる」「メロンやモモを食べると、のどがイガイガ・ピリピリする」「生野菜を食べると唇が腫れぼったい」——そんな経験はありませんか。
「体質かな」「気のせい」と見過ごされがちですが、こうした症状は花粉症と深く関わるアレルギーであることが少なくありません。これを花粉食物アレルギー症候群(PFAS:Pollen-Food Allergy Syndrome)と呼びます。口やのどを中心に症状が出ることから、口腔アレルギー症候群(OAS:Oral Allergy Syndrome)とも呼ばれます。
大泉学園・東大泉(練馬区)の松平 呼吸器内科・アレルギー科クリニックが、PFASのしくみを一次情報(学会・診療ガイドライン)に基づいて整理し、当院のView39(ビュー39)アレルギー検査の結果から、どの果物・野菜に注意すればよいかを”読み解く”考え方を、患者さんにわかりやすくご説明します。
この記事でわかること
- 花粉食物アレルギー症候群(PFAS/口腔アレルギー症候群)とは何か
- なぜ起こるのか──花粉と食物の「交差反応」というしくみ
- View39で「どの花粉に反応するか」から「注意したい食物」を読み解く早見表
- 「検査が陽性=必ず症状が出る」ではない、という大切な注意点
- 受診の目安と、豆乳・大豆で注意したいこと
- 「加熱すると食べられる」ことが多い理由
- 当院(大泉学園・練馬区)でできること
1花粉食物アレルギー症候群(PFAS)とは?
日本アレルギー学会は、特定の花粉にアレルギーがある方が、その花粉と構造の似たタンパク質を含む果物・野菜・ナッツなどを食べたときに、口やのどを中心にアレルギー症状を起こす病態を、口腔アレルギー症候群(OAS)/花粉食物アレルギー症候群(PFAS)として解説しています。
典型的な症状は、原因となる食物を口にした直後〜1時間以内に、口唇・舌・口の中・のどのかゆみ、イガイガ感、ピリピリ感、唇やのどの腫れぼったさといった、口の周りやのどの局所症状です。多くはこの範囲でおさまります。
一方で、まれに蕁麻疹・腹痛・咳・息苦しさなどの全身症状に広がったり、アナフィラキシーに至ったりすることもあります。特に豆乳・大豆などでは、口の症状が軽くても全身反応が出た報告があり、注意が必要です(第7章で後述)。
2なぜ起こるの?──花粉と食物の「交差反応」というしくみ
PFASの原因は、免疫の交差反応(こうさはんのう)という現象です。
花粉に含まれるアレルゲン(原因タンパク質)と、果物・野菜に含まれるタンパク質は、構造がよく似ているものがあります。花粉症で花粉に反応するようになった体(IgE抗体)が、似た構造の食物タンパク質に出会うと、「また花粉が来た」と勘違いして反応してしまうのです。
代表的な例が、カバノキ科(シラカンバ・ハンノキ)花粉の主要アレルゲンBet v 1です。Bet v 1は「PR-10」というタンパク質グループに属し、リンゴのMal d 1、モモやサクランボなどバラ科果実の同じグループのタンパク質と構造が似ています。そのため、カバノキ科花粉症の方は、これらの果物で口腔症状が誘発されやすいことが、耳鼻咽喉科領域の研究でも報告されています。
大切なのは、「花粉症が先にあって、あとから食物症状が出る」という順序が多い点です。だからこそ、自分がどの花粉に感作されているかを知ることが、注意すべき食物を予測する手がかりになります。ここで役立つのが、次にご説明するView39です。
3View39(アレルギー特異的IgE 39項目検査)で何が分かる?
View39は、1回の採血で39種類のアレルゲンに対する特異的IgE抗体をまとめて調べられる血液検査です。39項目は、吸入系(花粉・ダニ・動物・カビなど)19種類と、食物系20種類で構成されています。
検査の全体像は「採血で39種類のアレルゲンを一度に調べる—View 39 アレルギー検査とは」で詳しくご説明していますので、あわせてご覧ください。
当院のView39には、PFASに関わる主な花粉と、原因になりやすい代表的な食物の両方が含まれているため、「花粉の陽性」から「注意すべき食物」へ橋渡しして読み解くのに適しています。
- View39に含まれる主な花粉:スギ・ヒノキ・ハンノキ・シラカンバ(カバノキ科)・カモガヤ・オオアワガエリ(イネ科)・ブタクサ・ヨモギ
- View39に含まれる主な食物:卵白・牛乳・小麦・ソバ・ピーナッツ・大豆・エビ・カニ・キウイ・リンゴ・バナナ など
4View39の花粉陽性から「注意したい食物」を読み解く早見表
下の表は、「View39でこの花粉が陽性だったら、こんな食物で口腔症状が出やすい」という交差反応の代表例です(食物アレルギー診療ガイドライン・日本アレルギー学会の解説にもとづく一般的な傾向)。
| View39の花粉項目 | 花粉の主な季節 | 交差反応で注意したい主な食物 |
|---|---|---|
| ハンノキ・シラカンバ(カバノキ科) | 春(おおむね1〜5月) | リンゴ・モモ・サクランボ・ナシ・イチゴなどバラ科の果物、大豆・豆乳、キウイ、ヘーゼルナッツ |
| スギ・ヒノキ | 春 | トマト |
| カモガヤ・オオアワガエリ(イネ科) | 初夏(5〜7月ごろ) | メロン・スイカ・トマト・オレンジ・キウイ |
| ブタクサ | 秋(8〜10月ごろ) | メロン・スイカ・キュウリ・ズッキーニなどウリ科、バナナ |
| ヨモギ | 秋(8〜10月ごろ) | セロリ・ニンジンなどセリ科、スパイス類、マンゴー |
※あくまで代表的な傾向です。感作されている花粉や体質によって、出やすい食物・症状の程度には個人差があります。
5大切な注意点:「血液検査の陽性=必ず症状が出る」ではありません
View39などの血液検査で分かるのは、体がそのアレルゲンに反応する準備ができているか(感作されているか)です。感作されていても症状が出ない方もいます。逆に、検査項目にない食物で症状が出ることもあります。
そのため、診断は検査結果だけで決めるものではなく、「どの食物で・いつ・どんな症状が出たか」という問診・経過とあわせて総合的に判断します。確定診断には食物経口負荷試験が必要になる場合もあります(食物アレルギーの診療の手引き2023)。View39は、その手がかりを整理し、注意すべき食物を予測・説明するための有用な材料としてお使いいただくものです。
6こんなときはご相談ください(受診の目安)
- 果物・野菜・ナッツを食べると、口やのどがかゆい・イガイガする・腫れぼったい
- 花粉症があり、特定の食物で口の違和感を繰り返す
- 症状が出る食物を自分で避けているが、本当に避けるべきか整理したい
- お子さんが「果物を食べると口が変」と訴える
7重い症状のサインには特に注意を(アナフィラキシー・豆乳)
- 全身のじんましん、まぶたや唇の強い腫れ
- 咳き込み・ゼーゼー・息苦しさ
- 腹痛・嘔吐・下痢
- 立ちくらみ・ぐったりする
特に豆乳・大豆(Gly m 4というタンパク質が関与)では、口の症状が軽くても全身反応が出た報告があり、加熱してもタンパク質が残りやすいとされます。「豆乳を飲んだら急に体調が…」という経験がある方は、自己判断で繰り返さず、一度ご相談ください。
8「加熱すると食べられる」ことが多い理由
PFASの原因タンパク質(PR-10やプロフィリンなど)の多くは、熱や消化に弱い性質があります。そのため、生では症状が出る果物・野菜でも、加熱・加工すると食べられることが少なくありません(例:生のリンゴは×でも、加熱したジャムやアップルパイは○、など)。ただし一部に例外もあるため、対応は自己流ではなく、医師と相談しながら決めていくのが安心です。
9当院(大泉学園・練馬区)でできること
松平 呼吸器内科・アレルギー科クリニックは、呼吸器内科とアレルギー科を専門とするクリニックです。花粉症・アレルギー性鼻炎・長引く咳の診療とあわせて、PFASが疑われる方の相談・検査に対応しています。
View39(アレルギー特異的IgE 39項目)検査
採血1回で、花粉・ダニ・動物・食物など39項目をまとめて確認。結果は約1週間でお返しし、当院の医師が結果の意味と、注意したい食物・季節の対策をていねいにご説明します。
問診による整理
どの食物で・どんな症状が・いつ出るかをうかがい、View39の結果とあわせて、生活上の注意点を一緒に考えます。
花粉症・鼻炎・咳の診療
背景にある花粉症そのものの治療も含めてご相談いただけます。
大泉学園駅南口から徒歩4分。東大泉・西大泉・大泉学園を中心に、石神井・保谷・光が丘・和光市方面からもアクセスしやすい立地です。「果物で口がかゆい」を我慢し続ける前に、一度ご相談ください。
10まとめ
- 果物・野菜で口やのどがかゆくなるのは、花粉症と関わる花粉食物アレルギー症候群(PFAS/口腔アレルギー症候群)のことがあります。
- 原因は、花粉と食物のタンパク質が似ているために起こる交差反応です。
- View39は1回の採血で花粉と代表的な食物の両方を調べられ、「どの花粉に反応するか」から「注意したい食物」を読み解く手がかりになります。
- ただし検査陽性=必ず発症ではありません。診断は症状・問診とあわせて総合的に行います。
- 多くは口・のどの局所症状ですが、まれに全身症状・アナフィラキシーがあり、特に豆乳・大豆には注意が必要です。強い症状のときは早急に受診・救急要請を。
- 気になる症状のある方は、大泉学園・練馬区の当院にお気軽にご相談ください。
監修
松平 呼吸器内科・アレルギー科クリニック 院長 松平 秀樹
- 平成6年 東京慈恵会医科大学医学部卒業、医師国家試験合格
- 平成6年 東京慈恵会医科大学付属病院 研修医
- 平成8年 東京慈恵会医科大学 外科学講座入局
- 平成12年 癌研究会附属病院 外科
- 平成13年 東京慈恵会医科大学 呼吸器外科
- 平成21年 独立行政法人国立病院機構東京病院 呼吸器外科
- 平成22年 東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 外科
- 平成30年 東京慈恵会医科大学付属病院 呼吸器外科
- 令和4年 町田市民病院 外科(呼吸器外科担当部長)
- 令和7年 松平小児科 副院長
- 令和7年 水谷内科呼吸器科クリニック 開業
- 令和8年 松平 呼吸器内科・アレルギー科クリニック(クリニック名変更)
資格:医学博士/インフェクションコントロールドクター/日本呼吸器外科学会 呼吸器外科専門医/日本外科学会 外科専門医
場所:練馬区東大泉6-51-4 TKマンション1F(大泉学園駅南口から徒歩4分)
電話:03-3867-8141
休診:木曜・土曜午後・日曜・祝日
参考文献
- 一般社団法人 日本アレルギー学会「口腔アレルギー症候群」
https://www.jsaweb.jp/modules/stwn/index.php?content_id=14 - 日本小児アレルギー学会『食物アレルギー診療ガイドライン2021』ダイジェスト版 第14章「食物以外の抗原感作による食物アレルギー(花粉-食物アレルギー症候群 等)」
https://www.jspaci.jp/guide2021/jgfa2021_14.html - 食物アレルギーの診療の手引き2023(厚生労働省補助事業)
- 日本耳鼻咽喉科学会会報「シラカバ花粉症と口腔アレルギー症候群(Bet v 1 と PR-10 食物アレルゲンの交差反応)」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka/111/8/111_8_588/_pdf - LSIメディエンス「Viewアレルギー39」WEB総合検査案内(検査項目の確認。2026年7月時点)
本記事は医療・健康情報の提供を目的としたものであり、診断・治療を保証するものではありません。症状や治療方針については、必ず担当医師にご相談ください。記載内容は執筆時点(2026年7月)の情報に基づいています。本記事は医療広告ガイドライン(厚生労働省)を遵守して作成されています。