- 2026年9月2日
View39アレルギー検査「結果の見方」——クラス0〜6は何を意味する?陽性でも症状が出ない理由|練馬区・大泉学園|松平 呼吸器内科・アレルギー科クリニック
View39アレルギー検査を受けると、後日、39項目それぞれについて「クラス0」「クラス3」といった段階が並んだ結果用紙をお渡しします。このとき、「クラス4だから重症ですか?」「陰性だったのに症状があるのはなぜ?」というご質問をよくいただきます。実は、このクラスの読み方には、いくつか大切な注意点があります。今回は、検査を受けたあとに結果用紙を手にした方に向けて、クラス0〜6が何を意味するのか、そして結果をどう受け止めればよいのかをご説明します。
※View39がどんな検査か(項目・受け方・費用の目安)については、「花粉症・じんましん・鼻炎…その原因アレルゲンを調べる「View39」アレルギー検査とは」をご覧ください。
結果用紙の「クラス」は、症状の重さの点数ではありません
この記事でわかること
- 結果用紙の「クラス0〜6」は何を表しているのか
- クラスが高い=症状が重い、ではない理由(感作と発症の違い)
- 「陰性(クラス0)」でもアレルギーを完全には否定できない理由
- View39は「スクリーニング検査」——結果を次の一手につなげる
- 結果だけを見た自己判断の食物除去は避けてください
- 結果は診察室で一緒に読み解きます
1. 結果用紙の「クラス0〜6」は何を表しているのか

View39の結果用紙には、スギ、ダニ、卵白といったアレルゲンごとに、測定値とあわせて「クラス」という0〜6の7段階の判定が記載されています。
このクラスが表しているのは、血液中にそのアレルゲンに対する「IgE抗体」がどのくらいあるか、つまり抗体の量の段階です。日本アレルギー学会が運営する情報サイト「アレルギーポータル」では、特異的IgE抗体検査の結果について、クラスは0〜6の7段階で表記され、クラス0が陰性、クラス1が偽陽性(結果用紙によっては「疑陽性」などと表記されることもあります)、クラス2〜6が陽性と判断されると解説されています。
この検査の保険診療上の正式な区分名は「特異的IgE半定量・定量」です(検査受託会社LSIメディエンスの検査案内より)。「半定量」という言葉のとおり、クラスとは連続的な測定値をいくつかの段階に区切った”目盛り”であり、クラスの数字そのものが病気の程度を直接示すわけではない、という点をまず押さえていただければと思います。
2. クラスが高い=症状が重い、ではない理由——「感作」と「発症」は別のもの
シリーズ第1回(基礎編)でもお伝えした、いちばん大切なポイントをもう一歩掘り下げます。
IgE抗体を持っている状態は「感作(かんさ)」と呼ばれ、アレルギー反応が起こる”準備状態”にあたります。しかし、感作されていても実際に症状が出るとは限りません。食物アレルギー研究会がまとめた「食物アレルギーの診療の手引き2023」(国立病院機構相模原病院 臨床研究センターの研究グループらによる手引き)でも、抗原特異的IgE抗体が陽性であること(=感作されていること)と、実際にアレルギー症状が出現することは必ずしも一致しないと明記されています。アレルギーポータルでも、IgE抗体は症状がなくても検出されることがあり、症状がない場合はアレルギーがあるとは必ずしもいえない、と注意喚起されています。
たとえば「ネコがクラス3」でも、ネコと接して何も症状がなければ、それだけで「ネコアレルギー」と診断されるわけではありません。
もう一つ知っておいていただきたいのは、クラスは「症状の重さの点数」ではないということです。食物アレルギーの分野では、特異的IgE抗体価が高いほど「食べたときに症状が誘発される可能性(プロバビリティ)」が高くなる傾向が報告されていますが、これはあくまで「症状が出るかどうかの確率」に関するデータであり、「出たときの症状がどれほど重いか」を示すものではありません。実際、クラスが高くても無症状の方もいれば、数値が比較的低くても症状が出る方もいます。だからこそ、クラスの数字だけを見て一喜一憂する必要はありません。
また、実際には食べても症状が出ないのに陽性と出る背景の一つに、「交差反応」があります。花粉と果物・野菜のように、よく似た構造のタンパク質を持つアレルゲン同士では、一方に感作されるともう一方にも陽性反応が出ることがあります(食物アレルギーの診療の手引き2023)。花粉症の方が果物で口のかゆみを感じる「花粉-食物アレルギー症候群(PFAS)」については、「花粉症の方が果物で口がかゆくなるのはなぜ?」で詳しく解説しています。
3. 「陰性(クラス0)」でもアレルギーを完全には否定できない理由
逆に、クラス0(陰性)だったからといって、アレルギーの可能性が完全に消えるわけでもありません。理由は主に3つあります。
(1)検査項目に含まれていないアレルゲンが原因のことがある
View39で調べられるのは代表的な39項目です。一方、特異的IgE抗体が測定可能なアレルゲンは200種類以上あります(アレルギーポータル、LSIメディエンス検査案内)。症状の原因がパネルの外にある場合、View39ではとらえられません。疑わしいアレルゲンがあれば、項目を指定した追加検査を検討します。
(2)IgE抗体を介さないタイプのアレルギーがある
アレルギー反応にはIgE抗体を介さないタイプもあります。たとえば、主に乳児期にみられる「食物蛋白誘発胃腸症」は非IgE依存性(細胞性免疫)の機序で嘔吐や血便などを起こすとされており(食物アレルギーの診療の手引き2023)、金属などによる接触皮膚炎(IV型アレルギー)も特異的IgE検査ではなくパッチテストで調べるものです(アレルギーポータル)。こうした病態は、IgE抗体を測るView39の結果には反映されません。
(3)タイミングや年齢によって検査値が変わることがある
特異的IgE抗体価は加齢とともに変化することが知られています(食物アレルギーの診療の手引き2023)。また同手引きでは、生後6か月未満の乳児では特異的IgE抗体が陰性になることもあるため、皮膚プリックテストが有用な場合があるとされています。「いま陰性」であることと「今後もずっと陰性」であることは、同じではありません。
つまり、「陽性=発症」でないのと同じように、「陰性=アレルギーではない」とも言い切れないのです。症状が続いているのに検査が陰性だった場合こそ、診察でご相談ください。
4. View39は「スクリーニング検査」——結果を次の一手につなげる
食物アレルギーの診療の手引き2023では、View39のような多項目同時測定検査は、原因不明のアレルギーの検索などの「スクリーニング検査」として位置づけられ、それ単独で診断を確定したり治療経過を評価したりする検査ではないとされています。定量性の高い検査(イムノキャップ等)や、食物アレルギーであれば食物経口負荷試験(実際に医療機関の管理下で少量ずつ食べて症状を確認する検査)といった、より精密な検査・評価につなげるための”最初のふるい分け”が本来の役割です。
これはView39の弱点というより、役割分担の話です。幅広く一度に調べて「怪しい候補」を絞り込み、必要に応じて次の検査や対策につなげる——結果用紙は、いわばゴールではなく出発点だとお考えください。
5. 結果だけを見た自己判断の食物除去は避けてください
結果の受け止め方で、特に注意していただきたいのが食物アレルゲンの項目です。
食物アレルギー診療の大原則は「正しい診断に基づいた必要最小限の原因食物の除去」とされています(食物アレルギーの診療の手引き2023)。「卵白がクラス2だったから、今日から卵を完全にやめる」といった、結果用紙だけを根拠にした自己判断の除去は、この原則から外れてしまいます。ふだん食べて症状がない食物であれば、陽性であっても除去が必要とは限りません。同手引きの栄養食事指導の項でも、過剰な除去に陥らないよう指導することが求められており、特にお子さんでは、不必要な除去が栄養面の問題(牛乳除去によるカルシウム不足など)につながり得ることが指摘されています。
逆に、「陰性だったから大丈夫」と、実際に症状が出ている食物を自己判断で食べ続けるのも危険です。摂取後に繰り返し症状が出る食物がある場合は、検査結果にかかわらず必ずご相談ください。
6. 結果は診察室で一緒に読み解きます

ここまでお読みいただくと、「では結局、自分の結果はどう解釈すればいいのか」と感じられるかもしれません。その答えこそが、検査結果は問診・診察とあわせて総合的に判断するもの、ということに尽きます。同じ「スギ クラス3」でも、春に毎年症状がある方と、まったく症状のない方とでは、結果の意味づけも、その後の対策も変わってきます。
当院では、結果をお渡しする際に、「いつ・どこで・何をしたときに・どんな症状が出たか」という実際の経過と突き合わせながら、項目ごとの意味と生活上の注意点をご説明しています。受診の際に症状のメモをお持ちいただくと、解釈の精度が上がります。
また、SNSやインターネット上には、アレルギー検査の結果画像やさまざまな解釈が流れていますが、検査結果の意味は一人ひとりの症状・経過によって異なるため、他の方の結果や一般論をご自身に当てはめることはできません。「ネットでこう書いてあったが、自分の場合はどうか」という個別のご質問は、ぜひ再診の際に結果用紙をお持ちのうえ、診察室でお尋ねください。
まとめ
- View39の結果の「クラス0〜6」は、特異的IgE抗体の量を段階で示したもの(半定量)。クラス0が陰性、クラス1が偽陽性(疑陽性)、クラス2以上が陽性と判定されます。
- クラスは症状の重さの点数ではありません。陽性(感作)でも症状が出ない方は珍しくなく、交差反応で陽性になることもあります。
- 陰性でもアレルギーは完全には否定できません。パネル外のアレルゲン、IgEを介さない反応、年齢・時期による変化があるためです。
- View39はスクリーニング検査。結果は診断のゴールではなく、次の検査・対策への出発点です。
- 結果用紙だけを根拠にした自己判断の食物除去は避け、必ず医師の診察とあわせて判断を。個別のご質問は再診時にご相談ください。
監修
松平 呼吸器内科・アレルギー科クリニック 院長 松平 秀樹
- 平成 6年 東京慈恵会医科大学医学部卒業、医師国家試験合格
- 平成 6年 東京慈恵会医科大学付属病院 研修医
- 平成 8年 東京慈恵会医科大学 外科学講座入局
- 平成12年 癌研究会附属病院 外科
- 平成13年 東京慈恵会医科大学 呼吸器外科
- 平成21年 独立行政法人国立病院機構東京病院 呼吸器外科
- 平成22年 東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 外科
- 平成30年 東京慈恵会医科大学付属病院 呼吸器外科
- 令和 4年 町田市民病院 外科(呼吸器外科担当部長)
- 令和 7年 松平小児科 副院長
- 令和 7年 水谷内科呼吸器科クリニック 開業
- 令和 8年 松平 呼吸器内科・アレルギー科クリニック(クリニック名変更)
資格:医学博士 / インフェクションコントロールドクター / 日本呼吸器外科学会専門医 / 日本外科学会専門医
場所:練馬区東大泉6-51-4 TKマンション1F(大泉学園駅南口から徒歩4分)
電話:03-3867-8141
休診:木曜・日曜・祝日
参考文献
- アレルギーポータル(一般社団法人日本アレルギー学会運営・厚生労働省リンク掲載)「アレルギー検査について」 https://allergyportal.jp/knowledge/testing/ (2026-09-01閲覧)
- LSIメディエンス WEB総合検査案内「Viewアレルギー39」(検査方法:FEIA/診療報酬区分:D015 13 特異的IgE半定量・定量) https://data.medience.co.jp/guide/guide-06030026.html (2026-09-01閲覧)
- 食物アレルギー研究会「食物アレルギーの診療の手引き2023」(診断:血中抗原特異的IgE抗体検査の項) https://www.foodallergy.jp/care-guide2023/cg2023-4/ (2026-09-01閲覧)
- 食物アレルギー研究会「食物アレルギーの診療の手引き2023」(総論:消化管アレルギーの項) https://www.foodallergy.jp/care-guide2023/cg2023-2/ (2026-09-01閲覧)
- 食物アレルギー研究会「食物アレルギーの診療の手引き2023」(管理・治療:必要最小限の除去の原則、栄養食事指導の項) https://www.foodallergy.jp/care-guide2023/cg2023-6/ (2026-09-01閲覧)
- 当院HP「採血で39種類のアレルゲンを一度に調べる—View 39® アレルギー検査とは」 https://respiratorycl-oizumi-gakuen.com/view39-allergy-test-nerima/